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マメと散歩中に考えたこと
夕食後、マメと散歩しながら、ふっと4ヶ月目に入ったことに気づきました。
9月の下旬から海岸沿いを歩き始めたので、もう4ヶ月ですよ…早いですねえ。
マメはとても無口な犬です。ただ黙々と歩くだけ。何やら彼なりにリズムが
あるようですけど、決して相談相手になるようなタイプじゃないですよ。

毎日数キロの道のりを無口なマメと散歩しながら、僕は思索に耽りました。
イタリアンからカフェへの、この大掛かりな進路変更は散歩しながら決めて
いったと言っても過言ではないと思います。マメが相談に乗ってくれないか
ら、ほとんど一人で歩きながら考えたわけです。

最初の頃は汗をかいていた記憶があります。8月まで猛烈な勢いで進んでい
たフレスカが事故を起こすことなく軟着陸するにはどうすべきか?…汗をか
きながら、そんなことを考えていましたねえ。まあ、結果的には今の状態な
わけですから、軟着陸か否か…自分では判断できないのですけど。

10月も中旬を過ぎた頃、自分は一体何がしたいのか?…そんな高校生みたい
な青臭いことを考えていましたよ。何だか逃げている気もしていましたから。
ただ、何をするにしても、今までのキャリアを打ち捨てて本気で取り組まね
ば、事は何遂げられないことは分かっていましたが…。

10月下旬から11月にかけては、構想を練っていました。大掛かりな内装工事
が果して自分にできるのだろうか?そんな不安を抱えつつも同時に、自分一人
でどこまでできるか試したい、そんな気持ちも強かった気がします。電気屋
の丁稚をしつつ、工事現場の空気を感じていたのかもしれません。

12月に入り、散歩中の考えごとは現実的な問題に変わりました。カウンター
の構造、雑誌を多く且つ取りやすく並べる棚は如何に作るか、客席の間隔と
目線、スタッフの動線、そもそも落ち着く空間とは如何なるものか?毎日何か
を作り、散歩しながら考え、帰ってまた作る…こんなことの繰り返しでした。

最近では、メニューを考えたり、細かなモノの配置を考えたりすることが増え
ましたが、同時に反芻する牛のように、ここ数ヶ月間のことを振り返っていま
す。テッペイの独立宣言から5ヶ月。一度崩壊した店は再び蘇って、全く別の
店へと生まれ変わりました。一週間後には稼動するのですよ。

不安?いやいや、楽しみなのですよ。欲を言えば、もう少し時間が欲しかった
んですけど、まあ、限がないですからね。
2016.01.28 Thursday 00:12
犬と共に comments(0)
おまえは何を考えてる?
10月は週末のディナーの度、仕事の合間を縫ってお客さんと話をしている。
今までゆっくり話をすることが無かったお客さんと話をする機会も増えた。
新しい門出を喜んで下さる方もいれば、残念がって下さる方もいる。
今までの仕事に過分なお褒めを頂くこともしばしば…感謝の念に堪えない。

僕はすでに流れに身を任せ、どっしり構えているつもりはあったのだけど、
こうして口に出してお客さんに話をすると、執着が薄れ決意が固まるのを
感じる。やはりどこかに迷いがあったんだろうと改めて気づいた。
不惑とはいえ、まっ、そんなもんか…とも思う。

新たなことに挑戦したいというポジティブな気持ちとは裏腹に、志半ばで
力尽きるような気持ちがあることは否めない。東京を離れた17年前も、都
落ちのような気分を味わった。決して後悔しているわけではないのだけど、
人間の感情ってとても複雑だなあ…とも思う。

次のプランに思いを巡らすとき、リーズナブルで、気さくで、気楽で、簡
単で、楽しい仕事を想像するときと、リッチで、クールで、他の追随を許
さず、独特で、職人的感覚的仕事を想像するときがある。やはり抜けたと
思っても迷いはあるのだろう。心の森は簡単には抜けられない…とも思う。

ビジネスとして仕事を捉えたとき、オペレーションやら原価やら仕入れや
ら、あるいは起こり得る様々なトラブルの想定やその問題解決方法、中長
期的な予測や対処…など、考えつく限り考え尽くして、ふっと気づく。
「考えるな、感じろ」かつて、あの名言にしびれた日があったなあって。

今夜のマメ散歩はいつもより長めに歩いた。長く歩いた分だけ長くものを
考えたけど、やっぱりいつものようにどこにも着地しないまま帰宅した。
僕がつらつら考えごとに耽りながら歩いているとき、マメは何を考えてい
るのだろう。時どき話がしたくなるなあ。





 
2015.10.11 Sunday 23:32
犬と共に comments(0)
元犬使いとして…
小学校の低学年ごろでしょうか、家の近所にいる犬たちを手懐けることが
趣味でした。飼い犬、野良犬の区別無く、手当たり次第に手懐け仲良く遊
んでいました。そんな僕を家族は犬使いと呼びました。

通行人にも飼い主にも吼える近所の秋田犬も僕には尾を振り、近づくとお
腹を見せて寝転びました。父は近づくなと言ったのですが、当時の僕は彼
らと意思疎通ができたんです。少なくとも父とよりは…。

海岸を散歩する時はいつも野良犬が数匹僕の後ろを付いてきました。当時
は野犬が多かったのですが、そのすべてに名前をつけて友人になりました。
そんな犬とのやりとりができなくなったのは、いつからだろう?

ベビーリーフ農家の山田君の家には雑種の犬が繋がれている。犬の前を通
り納屋に入ると野菜保管庫があり、僕は無人の納屋から注文した野菜を持
ち帰る。その様を見ているのはいつも繋がれた雑種君だけです。

初めて野菜を取りに行った日、僕を見て猛烈に吼えた雑種君。山田君の説
明では誰にでも吼えるから気にしないように…とあったけど、僕の中の犬
使い魂が目覚めたのは、久しぶりに犬に吼えられたからかも知れません。

あの山田家の納屋に通い始めて3ヶ月。ついに先日の訪問で雑種君は吼えず
に、微かに尾を振っていました。犬使いとして30年のブランクは大きいの
でしょう。でも少しずつ犬語の勘を取り戻してきました。

明日はベビーリーフの入荷日。あの雑種君が僕をどう迎えるか楽しみです。
家族とも仕事とも全く無関係に、僕はあの山田家の雑種君を10月中に手懐
けようという目標を掲げています。必ずお腹を見ようと。

まあ、店を閉めるやなんやと騒いでいるときに、ヘンな目標を掲げる必要
はないんですが…。あれだけ犬に吼えられたのは久々でしたから、やはり
元犬使いの血が騒ぐのでしょうか?
 
2015.09.19 Saturday 00:54
犬と共に comments(0)
マメ 老いて益々
2週間ほど薬を飲んで、ずいぶん痒みが軽減されたんでしょう。
最近、マメはすっかり元気になりました。下半身に一部毛が無いところ
がありますが、以前より若返った気がするほど漲っているようです。

昨日、再び訪ねた動物病院の待合で…動物病院の待合所ではどうして
あんなに話しかけられるのでしょう?…「若くて甘えん坊ですね」と隣
のオバちゃんに話しかけられたんですが、14歳と知って驚いてましたよ。

確かに、ベンチに座っている僕の膝に頭を擦りつけて、懐いた猫かと思う
ほどクネクネと動いていましたから…、ちょっと恥ずかしくなるほどの
甘え方ですよね。ベンチの上の袋の中から、猫が呆れ顔で見てましたよ。

ランがいなくなってから、以前より甘えるようになったんですよねえ。
もう誰はばかることなく、すりすりくねくね…いっそ、動画でも撮ろう
かと思うほど奇妙な猫っぽい動きですけど、赤ちゃん返りでしょうか。

時々庭に出て、お客さんの若い女性を見つけては尻尾を振りながら近づ
いて、撫ぜられたり写真を撮られたりとやりたい放題ですよ。僕が見た
感じでは、下心見え見えですよねえ。油断すると顔を舐めるんで気をつ
けて下さいな。ちなみに、女性二人組みなら必ず若い方に近づきますから。

マメ太郎  年齢 14歳と5ヶ月
      好きな食べ物 柿の種とクリームパン
      好きなタイプ 若い人間の女性、特に20代
      嫌いなもの 猫(家ではアミ)と病院の診察台
      得意技 お客さんの若い女性をナンパすること
      最近思うこと 店のスタッフに若い女の子が減ったなあ




 
2015.09.03 Thursday 01:15
犬と共に comments(0)
ランを失った日
ランが旅立ちました。今日の昼の話です。
16年もの長きに渡りいつも僕の傍らにいた犬でした。
身近すぎて話題にすることすらないぐらい僕の一部でした。
我がままで身勝手な奴でしたが、そこがまた好きでした。

体の一部を失ったような大きな喪失感があります。
世話を全うしたという達成感のようなものも感じます。
苦しそうな姿を見なくてよくなった安堵もあり、
もう、心配しなくていいんだという開放感のようなものも…。
人の心は複雑です。もっと悲しむかと思っていたんですが、
僕なりに覚悟をしていたのでしょうか、複雑な心境です。

リュウの時と同様、旅立つ間際まで一緒にいることができました。
ぷつっと途切れたリュウとは異なり、ゆっくりとステレオのボリューム
を絞るように、あるいは文字通り眠るように静かに旅立ちました。
手を握り、背を擦り、ゆっくり静かに…呼吸が小さくなるランを
呼び止めることもできないまま…ただ見守っていました。

白内障で白濁した瞳は瞳孔を確認できませんでした。鼻の前にかざし
た手は震えていたので、呼吸を確認できませんでした。手の脈を調べ
ましたが自分の鼓動が邪魔をしました。生と死の狭間は明確なようで
曖昧なのです。僕にはどうしたらいいか分かりませんでした。

午前11時30分でした。ランチ最初の来客があり、手を洗ってパスタを
作りました。次から次へと注文があり、僕はひたすら料理に没頭しま
した。仕事とは有難いもので、あのままランの傍らで放心するより、
こうして料理に集中する方が良かったのだと思います。

次にランを見たときはカチカチに硬直していました。ランチを終えて
敷地の端、リュウの墓の近くに穴を掘りました。炎天下の中で汗だか
涙だか、汗が目に入るから涙が出るのだか分からないまま深く大きな穴
を掘りました。穴にランを入れ上から話しかけると動いた気がしました。

ランの頭に僕の汗か涙か液体がポタポタと落ち、毛が濡れていました。
土をかける時がもっとも喪失感を感じました。僕は何か大切なものを土
の中に埋めている…そんな気持ちになりました。言葉にすると変ですね。
だって、確かに大切なランを土の中に埋めたんですから…。

仕事を終えてマメと庭を歩きました。マメはランを探していました。
彼がランの死をどう思っているのかは分かりませんが、何となく落ち着
かないようです。リュウがいなくなり、次はランが…残されたマメは
何を想うのでしょう。何か言いたいことがあったのでしょうか?
それは知る由もありませんが、僕はランに礼を言いたい。
長い間一緒にいてくれて、ありがとう。
来世があるなら、また僕の子になって欲しい。
2015.07.31 Friday 23:53
犬と共に comments(4)
眠るランを待ちながら…
末期の肝ガンと診断されて以降、腹水がたまり、足元も覚束ない状態
で毎晩深夜まで様子を見る日が続いてるランの話ね。

今日は久々に走ったね。気分が良かったんだろうね。僕がサーモンや
アジの刺身をあげたからだろうね。あれは確かにうまいだろうね。

長い時間ずーっと眠って、時々ほんの少しの時間だけ散歩して、でも
ごはんだけは忘れないのね。生きることは食べることを実践中だから。

マメなんか小食だから時々ごはんを残すんだけど、よろよろと歩いて
でも横取りする習慣だけは無くならないもんな。食い意地も大事だな。

今日も仕事が忙しくて、もうイイカゲン寝たいけど夜中の1時過ぎにな
ると必ず撫ぜて欲しい時間があるんだよな。なんで夜中なんだろうな?

こうしてブログを更新したり、伝票の整理や読書や…そんなことをしな
がら時間を潰して彼女が目覚めるまで待っているだよ。毎晩ね。

でも、時々不安になるから様子を見に行くのね。で、ああ…ちゃんと呼
吸してるなって確認するわけよ。ちゃんとお腹辺りが動いてるってね。

伊坂幸太郎の新刊「ジャイロスコープ」買ったのね。短編はいいよ。区
切りが付けやすくて、こういう状況にうってつけだな。

今夜もランが目覚めて「撫でてけろ」って言い出すまでに30分はあるか
な。もう一話ぐらい読めるかな。まあ、途中でもかまわないけど。
 
2015.07.06 Monday 00:46
犬と共に comments(0)
病院帰りの車の中で…
ここ数ヶ月の体重の減少、あるいは下痢や倦怠感はただの老いだけでは
ないだろうと…原因を見極めることは、今後の生活を見直す上でも、役
に立つに違いないと…そう思い病院へ行きました。

診察の結果は肝臓にできた悪性の腫瘍が原因でした。いわゆる肝臓癌で
す。もはや手の施しようがないほど大きくなっていて、末期と診断され
ました。まあ、歳が歳なんで覚悟はしていましたが…。

ポジティブな治療はせず、気ままに余生を過すことに決めたのは僕の独
断ですが、好きな時に食べ、眠り、また時々は散歩し…こういう最後も
悪くはないだろうと。きっと、治療よりもこちらを選ぶんじゃないかと。

物言わぬ彼らとの付き合いには、少なからず後悔が付き物です。あの時
こうしていれば…と思わなかった子はいません。ただ、最後の最後まで
共に暮らし、愛情を注ぐほかには何も思いつかないですから。

ぼんやりと遠くを見つめる彼女は何を想っているのだろう。僕の目には
運命を受け入れ自然体で生きているように見えるんですが、答えは永遠
に分からないのでしょう。

時々咳き込む彼女の背中をさすり、どこか痛いところはないかと聞き、
暑くない夜に散歩をし、ごはんにそっと肉や魚の端切れを入れてやる。
僕にできることはこの程度だけど、あの目は何を語っているのだろう?

ランよ、父さんは間違ってないだろうか?16年も一緒にいるのに、分か
らないんだよ。
2015.06.16 Tuesday 23:38
犬と共に comments(0)
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